第183号(平成29年9月


皆さん、こんにちは。早いもので九月です。朝晩は肌寒い日もあります。くれぐれもご自愛ください。

今年のかわら版は知多八十八ヶ所霊場についてお伝えしています。今月は二十五番からスタートです。

★弘吉布袋

二十四番から名鉄河和線と国道二四七号線の間を南に二・七キロメートル、富貴駅北側の踏切を越えると二十五番、法輪山円観寺

縁起は室町時代に遡りますが、現在の場所、山号・寺号になったのは一五七四年。

総欅(けやき)造りの護摩堂には、金毘羅大権現、不動明王、薬師如来が祀られ、毎月十日には護摩祈祷が行われます。

堂内には笑顔が印象的な弘吉布袋も鎮座しており、参拝客に親しまれています。

ご本尊 阿弥陀如来

ご詠歌 円やかに 観給う弥陀   の 慈眼には 富貴も貴   賤も 別ちなからむ

★武田安兵衛行者

二十五番から名鉄河和線に沿ってさらに南下すること三・二キロメートル、開山所の達磨山葦航寺

知多八十八ヶ所霊場の三開山のひとり、武田安兵衛行者を祀っています。讃岐生まれの安兵衛と、霊場の開基、亮山阿闍梨との出会いの経緯は二月号をホームページからご覧ください。

亮山阿闍梨岡戸半蔵行者とともに知多八十八ヶ所霊場の開山に奔走。讃岐出身の安兵衛は本四国霊場の砂を集め、これを納めました。

開山の大業を達成した翌年の一八二五年、安兵衛は布土の十王堂で三十六歳の若さで亡くなりました。

ご本尊 釈迦牟尼仏

ご詠歌 一筋に 八十八と願立   てて 布土の縁で なる   ぞはたせり

★安産の観音様(時志観音)

葦航寺から海沿いの国道二四七号線に出て南に二・三キロメートル。急な石段の上に海を見下ろして立つのは番外札所、慈雲山影現寺

八二七年、佐久島の漁師の網に十一面観音像がかかり、島の草堂に祀っていると、堂守の夢に観音様が現れ「願わくは対岸の陸地に祀れ」との夢告。観音像から出た光明が指し示した先が当地だったと伝わります。

遷座した後はいつしか時志観音と呼ばれるようになり、草堂をもとに一五〇四年開山、一七一五年開創。

領内巡察中の尾張藩初代藩主、徳川義直が当寺で休息。由来に感服した義直は当寺を庇護。義直の安産祈願も叶えたことから、以後、安産の観音様として信仰されました。

ご本尊 釈迦牟尼仏

ご詠歌 時しらぬ 利益はいつ   も有明の 月の光の い   たらぬはなし

★地獄絵図

時志観音から国道二四七号線をさらに一・四キロメートル南下。名鉄河和駅近くにあるのが二十六番、龍華山弥勒寺

一五九六年に開創。一七五三年の火災で堂宇を焼失しましたが、後の住職、海嶺和尚や天佑和尚らの尽力で再興。今日に至っています。

釜茹で、血の池地獄などが描かれた寺宝「地獄絵図」は毎年春秋のお彼岸の一週間ご開帳され、多くの人が参拝に訪れます。

お庫裏さんは著名な画家と伺っています。お庫裏さんご自身が「天井絵」などの仏画を描かれ、その数も年々増えているそうです。

ご本尊 弥勒菩薩

ご詠歌 露の身も 今日は嬉し   く北方の 弥勒寺尊の    あかつきにある

★岡戸半蔵行者

さて、来月は二十七番から。三開山のひとり岡戸半蔵行者を祀る開山所が境内にあります。乞ご期待。

 

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