第187号(平成30年1月


皆さん、明けましておめでとうございます。かわら版、今年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

昨年に続き、知多四国八十八ヶ所霊場についてお伝えしていきます。

★お亀さん霊場

篠島から師アに戻り、いよいよ知多半島西岸を北上。お遍路も後半に入ります。師アから約二・六キロメートル、番外札所の青泰山浄土寺に到着です。

明治四十二年、伊賀上野の谷村佐助という人が夢告に従って亀に慈悲を施したところ、病気が平癒。感謝して海に放した亀がこの地に漂着。

開山の亀岳鶴翁大和尚が霊亀出現の夢告を見た後であったため、この亀を龍亀大菩薩として奉安。亀の甲羅には「奉大海龍大神、谷村佐助」と書かれていたそうです。お亀さん霊場と呼ばれて親しまれています。

ご本尊 薬師如来

ご詠歌 波の音 みのりの声ぞ 小佐のア 浮かぶ心の 亀ぞまつれる

★御守腹帯

浄土寺から国道二四七号線を北上すること約三・八キロメートル、四十番は普門山影向寺

大師堂に祀られている子安大師像は、ご本尊の十一面観世音菩薩の神通力で現れたと伝わります。安産、子育てに霊験があるとされ、大師像や経文を描いた御守腹帯のご利益は有名で、遠隔地からの参拝客も多いそうです。

ご本尊 十一面観世音菩薩

ご詠歌 中須をも 照らせる月の影向寺 彼岸浄土も さやかにぞ見る

★またたき弘法

さらに北上すること約二・五キロメートル、山海(やまみ)海岸に面して建つのは四十一番、松原山西方寺

流木で作られた山門、魚供養塔などがあり、海辺ならではの札所です。

当寺に祀られている大師像はまたたき弘法と呼ばれており、眼病平癒にご利益があると親しまれています。

ご本尊 阿弥陀如来

ご詠歌 皆人の 願う浄土は何処方ぞ月も傾く 西方の寺

★快慶作阿弥陀如来

山海交差点を東へ向かい、四十一番から約一・二キロメートル行くと四十二番、瑞岸山天龍寺

寺号の由来は、お大師様巡錫跡に立つ欅(けやき)の根元に湧く湧水が「龍泉」と呼ばれていたためだそうですが、その湧水は昭和中期の土砂災害で涸れたそうです。

ご本尊の阿弥陀如来は鎌倉時代の仏師、快慶作と伝わります。

ご本尊 阿弥陀如来

ご詠歌 み佛の あらはれならむ天龍寺 小野の小田水 恵まれにけり

★尾張高野山

四十二番からさらに東に約〇・八キロメートル、四十三番は大慈山岩屋寺

七一五年に元正天皇の勅願により行基菩薩が開創したと伝わる古刹。お大師様が二度来山し、阿弥陀堂のご本尊は親鸞上人が奉安。

室町時代は大野城主佐治家、江戸時代は尾張徳川家の庇護を受けました。現在は尾張高野山の総本山として多くの末寺を擁しているそうです。

ご本尊 千手観世音菩薩

ご詠歌 不思議とは 誰が口から岩屋でら 千手の誓い 利益あらたか

★身代大師総本山

岩屋寺の奥之院も番外札所。お大師様が八○八年に開創。知多四国霊場の中で唯一の参籠の行場です。

お大師様がこの地の岩窟で護摩修法された際、「病気災難等の身代わりに立ちつかわさん」と仰せになったことから、身代大師総本山として信仰されています。

ご本尊 聖観世音菩薩

ご詠歌 名も高き み山の奥之院 ふだらくせんの 姿なるらん

★山寺桜

来月は再び山海に戻って北上、内海に向かいます。かつては桜の名所として知られ、山寺桜とも言われた四十七番まで行きたいと思います。乞ご期待。

 

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