耕平さんかわら版   第81号(平成21年3月)

  皆さん、こんにちは。春本番が待ち遠しい季節になりましたが、まだまだ朝晩は冷え込みます。くれぐれもご自愛ください。

 先月末のテレビ番組で、石破茂農水大臣が「過去十五年間、農業産出額が減少し続け、農業所得は半分になった。農政に間違いがあったと言わざるを得ない」と発言。石破大臣は正論を述べました。

 戦後、日本は百五十万ヘクタールの農地を造成する一方、二百五十万ヘクタールの農地を減反、転用、耕作放棄で失ってきました。多額の農業予算(税金)を農業そのものではなく農業土木工事に投入し、食糧自給率は低下。二重の失敗を犯してきたと言えます。

 今や、穀物は「食料」から「資源」に転化しました。食料の大消費国になった中国とインドの人口は合計二十四億人。消費量の増加は数十年続きます。今後、食料は慢性的な供給不足と価格高騰に直面するでしょう。

 そうした中、毎年三千万トンの穀物を輸入する一方で「資源」である米を減産し続けている日本。減反によって水田面積約二百五十万ヘクタールの四割=百万ヘクタールが消失。食料自給率(カロリーベース)は四割を下回りました。「資源」を減産すると補助金がつく減反政策の見直しは不可避です。

 今国会に農地の貸借を原則自由化する農地法改正案が提出されました。農地の「所有から利用」への転換を図り、株式会社や農協による借用も解禁。これによって増産と自給率向上を目指すそうです。もっとも、その一方で減反を続けるようでは支離滅裂です。

 新しい動きを活用した工夫も必要です。例えば飼料米。穀物価格高騰に伴う飼料コスト高に苦しむ畜産農家が注目しています。休耕地で飼料米を生産すれば、米作農家と畜産農家の双方が助かります。飼料米生産の採算がとれるようにすること、そのために飼料米を活用した配合飼料市場を充実させることが必要です。

 エコフィード(食物残さ)もあります。食品製造過程で発生する穀物や野菜の「残さ」を有効活用することです。エコフィードを活用すれば飼料の低価格化につながり、畜産農家も助かります。言わば、日本の農業を循環型に転換し、低コスト化を実現する試みです。

 日本の食文化には様々な「先人の知恵」があります。例えば「かき揚げ」。永平寺のお坊さんが食材をムダにしないように野菜の切れ端を集めて揚げたのが始まりと言われています。まさしくエコフィードです。

 農地法を改正しても、減反、輸入依存、非循環型、土木工事中心の農政の構造を放置したままでは、何の問題解決にもなりません。

 その後、減反を巡って石破大臣の発言がグラグラしています。減反維持派の主張に押されているようです。どんな政策でも、賛成もあれば反対もあります。頑張ってもらいたいものです。

 麻生内閣の支持率低迷や小沢さんを巡る問題で政治は混迷しています。政治家のひとりとして、皆さんにご心配をかけてしていることをお詫び申し上げます。しかし、政策課題は明確です。政局に右往左往することなく、政策課題の解決に向けて、引き続き全力で職責を果たします。


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