(RTR) 03/04 17:36 再送:[日銀総裁への注文]詭弁を弄さず財政民主主義を貫け=民主・大塚参院議員
[東京 4日 ロイター] 民主党の大塚耕平参院議員は、日本銀行の次期総裁に内定した福井俊彦氏について、説明能力の高い人なので、詭弁を弄して政策について誤魔化すようなことをせず、踏み切るべきところは踏み切って決断し、そのことを国民=国会に対してきちんと説明し「財政民主主義」を貫いてほしい、との期待を語った。
また、民主党としては、同意人事の国会承認前に新総裁を国会に呼んで質疑を行うことを3月10日くらいまでに決めるよう、引き続き国対で要求していく方針だという。
大塚氏は、1983年に日銀に入行。旧営業局勤務などを経て、2000年に参議員議員立候補のため退行する直前は、政策委員会室国会渉外課調査役を務めていた。
ロイター通信のインタビューに答えたもので、概要は以下の通り。
<民主党は、国会承認の前提として、新総裁・副総裁を国会に呼んで質疑を行うべきだと主張しているが>
――新日銀法のもとで行われる初めての日銀総裁の国会同意人事なので、国会の場で、質疑応答をするべきだ、というよりも、しなければ我々議員としても責任を持って承認はできない。野党も、別に福井新総裁に反対しているわけではない。ただ、どういう政策を持っている人かを確認しないで承認するのは無責任だろう。自民党の中にも一部同調者はおり、3月10日ぐらい、ぎりぎりまで与党の説得に努力する。
<速水総裁の5年間を振り返り、政策をどう評価するか>
――限られた政策手段しかない中で、非常に辛抱強く運営されたと評価している。今の経済情勢の下、金融政策にできることは限られているなか、やるべきことはやったと思う。ただ、ゼロ金利解除はやるべきではなかったし、最後の1年間程度で何点かやるべきではないことにも踏み込んだと思っている。それは、1)国債購入の規模の過剰拡大、2)預金保険機構・地方交付税特会向けの貸し付け債権の適格担保化、3)銀行保有株の購入、の3点だ。これは事実上の日銀による財政のファイナンスだ。
こういった政策を絶対に取るべきでないとは思わないが、これは国民の財産である財政を公器である日銀がファイナンスするという方向に大きく踏み出すものであり、やるのであれば、議員立法によって、国会の場で審議したうえ国会議員の責任において決めるべき政策転換だと思う。
<福井次期総裁に何を期待するか>
――詭弁(きべん)を弄(ろう)さないことだ。速水総裁時代は、3つの時期に分けられる。98年からの伝統的な利下げによる金融緩和時期、2001年3月からの量的緩和の時期、そして同年8月からの国債購入増額と株式購入の時期、だった。こうした政策を引き継いでいくわけだが、例えば、対外的に日銀は従来の枠組みから外れた政策は採っていない、と言いつつ、実際には外れて、財政のファイナンスを行うようなことは、詭弁を弄することになるのでやめてほしい。
具体的に、福井氏が取れる方向は2つある。1つは、従来の政策で景気は良くならなかったので、方向性が間違っている可能性があるため、金利を常識的な水準まで上げて、その水準にとどめる。それでやっていけない企業・銀行は淘汰されるべきかもしれない。ハードランディングになり、リスクもあるが、これまでの政策が効果がなかったのだから、違う流れを作るのも1つの考え方ではないか。
もう1つは、これまでの路線の延長で、財政のファイナンス化にどんどん踏み込んでいくというもの。その場合、「財政民主主義」の考えを守ってほしい。つまり、国の財政を日銀がファイナンスしなければならないところまで来ている、という状況を日銀が国民に説明し、そのため取りうる手段を国会に提示して、国会の場で議論して決めるべきだ。今すでにそういう方向に踏み込んでおり、このままこの路線を続けると、公器としての中央銀行のクレディビリティーを傷つけることになる。最近の日銀の政策行動は、やや軽率なところが見られる。
福井氏は、頭も良く、説明能力もあるので、日銀に対しては巧みな説明を行いながら、詭弁を弄する方向に走る可能性があると危惧している。
<その中でインフレターゲット政策はどういう位置付けになるのか>
――当然、金融政策の財政政策化、財政の日銀によるファイナンス化の方向にある。インフレターゲットを採用した場合、手段として何があるかと言えば、国債を買うしかない。その場合、例えば日銀が、”我々はインフレターゲットを採用しません。でも、政府との政策一体化のため、国債購入を増やします”という詭弁を使う可能性がある。しかし、これは実際にはインフレターゲット以外の何物でもない。
<現在の経済情勢に対する認識は>
――多くの企業が人件費の抑制など、コスト削減とバランスシートの圧縮でなんとか息をついているが、反転攻勢に転じる力が何もない。このままいくと、来年度さらに縮小均衡に陥っていく可能性がある。
形式的には業績が良くなっているが、新たな事業に取り組むような動きは全くない。ここで公的需要をばらまいて反転攻勢しようというのは「いつか来た道」であり、それをやり続けてうまくいかなかったのだから、他の方法を考えないといけない。
本当は小泉首相が言っているように、徹底的な規制緩和で、企業にかかっている様々な経理コストや販売コストを下げるというのが1つの方法だが、残念ながら、この点で、小泉改革は1年たってもあまり成果が出ていない。 企業の過剰供給能力はかなりスリム化されていて、適正供給能力に近づいているが、それでもその能力を発揮できない障害がまだある。これを取り除いていくことが重要だ。
<次期日銀副総裁として武藤前財務次官が決まったが、どう見るか>
――今、懸念されているのは、日銀による財政ファイナンス化がますます進むことだが、その意味で、財務省よりの武藤氏は問題だ。金融政策に多大な負担を強いてくる方向にならぬよう、福井氏にはその方向にブレーキをかける自重的な役割を期待したい。
また、今回の人事について、ほとんどの人は武藤氏が次の次の日銀総裁含みだと思っている。そうすると、武藤氏は、今後10年間にわたって実質的な日銀総裁となり、周りも武藤氏に対して批判できる人がいなくなる恐れがある。そういう意味では、良くない人事だ。
(インタビュアー:宮崎 亜巳記者)