耕平さんかわら版   第49号(平成18年7月)

 皆さん、こんにちは。夏本番です。くれぐれもご自愛ください。さて、財務省が、今年三月末時点の「国の借金残高」を発表しました。八百二十七兆円です。過去一年間で四十六兆円増えました。増加分の大半、四十四兆円は国債です。子どもを含めた国民一人当たりの借金は六百四十八万円。すぐには返せませんね。

 国の借金に関連して、もうひとつ別の数字もよく聞きます。これも財務省が発表する「国及び地方の長期債務残高」という数字。今年三月末は七百七十兆円。すごいですね。

 また、国や地方自治体が所管する公社、公団、公益法人の借金を合わせると、公的債務全体の額は既に千五百兆円を超えているという指摘もあります。気が遠くなります。

 そもそも国や地方自治体は何のために税金や国債によってお金を集めるのでしょうか。それは国民の生命と財産の安全を守るため。特に医療は優先度の高い分野と言えます。

 ところが、先日、血液製剤による薬害C型肝炎集団訴訟で、一九八七年以降に薬を投与されて被害を受けた患者さんにだけ補償金を払うという判決が出ました。政府は「責任期間が限定されないと医療費が際限なく増えることを恐れている」そうです。裁判所もその点に配慮したのでしょうか。財政と国民を天秤にかけている今の日本の姿はどこか変です。

 そんな時、ふと思い浮かんだ「建設国債」という言葉。「建設国債」は社会資本を建設する財源として発行を認められている国債です。戦後の復興期にはたいへん役に立ちましたが、「将来への投資」という名目でムダな事業を推進することになり、財政難の原因となりました。

新しい国債

この考え方を「医療国債」として活用できないでしょうか。薬害や医療行為に伴う「医原病」に関する医療費を賄うために限定した国債です。「医療国債」で薬害や医原病の医療費を賄わなければ、結局その家族が負担を被ります。つまり、将来世代の負担です。

 また、この仕組みは「年金国債」という発想にもつながります。「年金国債」は年金財源を賄う国債。「建設国債」は役目が終わりましたが、「年金国債」はこれからの時代にとって真剣に考える必要のある仕組みです。

 「医療国債」や「年金国債」は非現実的と思われるかもしれません。しかし、国全体の借金が千五百兆円に及ぶ現実は既に非現実的。この状態を「一新」することが必要です。小沢さんの主張する「日本一新」はそういうことかもしれませんね。財務大臣は次期総理候補のひとり、谷垣さん。ソロバン勘定ばかりしていないで、この際、財政も国民の気持ちも「一新」するような政策を期待したいものです。


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耕平さんかわら版            第50号(平成18年8月)

   皆さん、こんにちは。お盆を過ぎたとは言え、まだまだ暑い日が続きます。くれぐれもご自愛ください。

最近気になるニュースがふたつありました。ひとつは、パリにあるOECD(経済協力開発機構)が発表した先進国の貧困率の順位です。日本は何と二位。貧困率の定義は国民の平均所得の半分以下で暮らしている人の割合ですが、日本は十三・五%だそうです。因みに一位は米国。こういうところは米国のマネをしてほしくないですね。

もうひとつは、英国の研究機関が発表した世界百七十八か国の幸福度の順位。国民の平均寿命や所得水準、教育制度、医療・介護・年金等の社会保障制度を同じ基準で評価して点数を付け、順位付けしたそうです。

 位デンマーク、位スイス、位オーストリア。上位傑は欧州勢です。米国は二十三位、英国は四十一位。さて、日本は何位でしょうか。ちょうど真ん中の九十位。因みに貧富の差が激しいお隣の中国は八十二位。インドは百二十五位でした。

幸福を感じない理由

幸福度が九十位になったのには理由があります。貧困率の上昇によって所得面から幸福を感じる人の割合が減る一方、社会保障制度の問題や矛盾が山積しているためです。一昨年の年金、昨年の介護、今年の医療と、社会保障制度の改革が続いています。その内容が国民の幸福度にも影響しているかもしれません。

例えば、今年の医療改革では保険対象のリハビリ期間に上限が設けられました。疾患によって上限に差はありますが、骨折や心筋梗塞は百五十日、脳血管疾患は百八十日。厚労省には「効果のないリハビリが横行し、患者も自助努力をしない」という認識があるようです。しかし、脳梗塞で体が不自由になった人が、必ず百八十日以内でリハビリが終了する保証はありません。それを一律に、しかも機械的に「百八十日過ぎたから保険は出ません」と言うような医療制度では、国民の皆さんが「日本の医療制度って、暖かくないな」と感じ、幸福度が低下しても仕方ないと思います。

社会保障制度の改革に際して、厚労省はいつも財政的限界を持ち出します。しかし、提示される試算の内容はチェックが必要です。例えば、将来医療費の推計値。厚労省は二〇二五年度の医療費をこれまで百四十一兆円と予測していましたが、昨年になって六十五兆円へ大幅下方修正しました。誤差や修正と言える範囲を超えています。どうも恣意的な印象が拭えませんね。

小泉さんはまもなく退陣です。秋の国会では、小泉さんが五年間に行った政策の検証をシッカリと行いたいと思います。頑張ります!!

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耕平さんかわら版            第51号(平成18年9月)

皆さん、こんにちは。暑い夏も終わり、だんだん秋らしくなってきましたが、いかがお過ごしですか。国会は逆に、これから熱い論戦が始まりそうです。
 この原稿を書いている今日は九月十三日。自民党総裁選挙の真っ最中です。安倍さん、谷垣さん、麻生さんの三人が立候補していますが、安倍さんが優勢と言われています。さて、最終的にはどうなるでしょうか。

 一方、民主党の代表選挙では、昨日、小沢さんが再選されました。小沢さんvs安倍さんになるのか、それとも、谷垣さんか麻生さんになるのか。今から党首討論が楽しみですね。 党首討論でこの国のあり方について、真剣な議論が行われることを期待したいものです。

この国のあり方

先月号でお伝えしましたとおり、英国の研究機関が発表した世界百七十八カ国の「幸福度」ランキングによれば、日本は何と九十位。お隣の中国の八十二位よりも「幸福度」が低い国だと認定されてしまいました。
 この「幸福度」は、所得水準や、教育、医療、介護、年金などの社会保障制度、住宅環境や治安状態など、様々な項目を比較検討してランキングを決めているそうです。所得水準が高いこと=「幸福」という単純な考え方ではありません。例えば、カリブ海のバハマなども高い「幸福度」と認定されましたが、所得水準は日本よりずっと低いです。

たしかに、所得は少ないより多いほうがありがたいですね。でも、「幸福」の基準は必ずしもお金だけではないということです。日本人にとって、「幸福」とは何かが問われています。そのことは、この国のあり方とも密接に関連しています。日本という国を、国民が何に「幸福」を感じるような国にしたいのか。このことが党首討論の大きなテーマだと思います。

加えて、本当に日本は所得が高いのかということも確認してみる必要があります。国民負担率(所得に占める税金と社会保険料の割合)が日本の倍以上もある北欧の国々の方が「幸福度」ははるかに高いのです。社会保障制度が充実しているために、老後の生活や病気になった時の不安が小さく、将来に備えた貯蓄負担や病気になった時の自己負担もあまりありません。つまり、実際に自由になる所得は日本よりかなり高いと考えるべきでしょう。日本は、見かけ上の所得は高くても、実際に自由になる所得の低い国かもしれません。

こうした点の実情について、小沢さんと新総理の間で、真剣で分かり易く、聞いていて納得のできる論戦が行われることを期待しています。もちろん、僕も国会議員のひとりとして、シッカリと議論させて頂きます。

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 耕平さんかわら版          第52号(平成18年10月)


今年もあと2か月。肌寒い日が増えてきますので、くれぐれもご自愛ください。

「暮らしやすい国」へ


安倍内閣が誕生しました。安倍さんは「美しい国」をつくることを目標にしているそうです。「美しい」という言葉はもちろん良い言葉ですが、「美しい」と感じる風景や事柄は人によってまちまちであり、「美しい国」の具体的内容を決めるのはなかなか難しいことかもしれません。個人的には、「暮らしやすい国」を目指して国会での職務に精励したいと思います。

ところで、今月から高齢者の皆さんの医療費の自己負担が増えました。自己負担が増加しただけではなく、今年の4月からは今まで医療保険がきいた治療等でも自分で負担しなければならないものが増えました。

分かりやすい具体例は、リハビリテーション。以前のかわら版でもお伝えしたかもしれません。医療保険で受けられるリハビリテーションの日数に上限ができました。上限を超える期間のリハビリテーションは全て自分で費用を負担するのが原則となりました。

例えば、脳梗塞(のうこうそく)でからだが不自由になられた方が、医療保険で受けられるリハビリテーションは180日まで。今年の4月から実際にリハビリテーションを受けていた方は、先月末で上限日数に達しています。

でも、現実には、脳梗塞でからだが不自由になった方が、180日でリハビリテーションが完了する保証はどこにもありません。

「美しい国」のイメージは人によってまちまちだと思いますが、困った人を支え合う国、加齢や病気でからだが不自由になったお年寄りや、未来を託す子どもたちを大切にする国、地域の絆(きずな)が強く、暮らしていて安心できる国。僕としては、そんな国が「美しい国」のような気がします。

そう考えてみると、やっぱり、「美しい国」よりも「暮らしやすい国」という表現の方がしっくりきますね。

この点も、いずれ国会審議の中で安倍さんに聞いてみたいと思います。

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     耕平さんかわら版     第53号(平成18年11月)


皆さん、こんにちは。今年もあとひと月あまり。本当に早いですね。寒さも増してきました。くれぐれもご自愛ください。

 今月の中旬、米国で中間選挙が行われました。米国の中間選挙では、下院議員(日本の衆議院議員)の全てと上院議員(日本の参議院議員)の半分を改選します。つまり、日本の総選挙と参議院選挙を一度に行うような4年に1回の大イベントです。要は日本流に言えば衆参ダブル選挙を4年ごとに行っていることになります。すごいですね。

 ご承知のとおり、結果はブッシュ大統領率いる共和党が下院、上院とも民主党に敗北。12年振りに両院とも民主党が多数派になりました。
 主たる争点はイラク問題でしたので、ブッシュ大統領のイラク政策に否定的な選挙結果となりました。この結果を受けて、ブッシュ大統領はラムズフェルド国務長官を解任。さっそくイラク政策を見直す姿勢を示しました。

 「実際にどうなるか」は別にして、選挙結果がとりあえずの政策変更に直結することから、米国の有権者は自分たちで政策を選択しているような気がしていることでしょう。
 日本の政治も米国のように選挙によって大きく変わるようになるとおもしろいですね。国会で仕事をさせて頂いている僕としても、争点を明確にして分かりやすい選挙となるように努力します。知事選挙も同じです。来年の愛知県知事選挙は神田さんと石田さんの主張の違いがよく分かる選挙にしたいと思います。

 選挙結果が政策変更に直結するのはよいことですが、問題はまさしく「実際にどうなるか」。表面的な見直し姿勢にとどまるようでは有権者に対する背信行為です。さらに難しいのは、既に失われた大勢のイラク人や米兵の命は返ってこないことです。イラク政策を見直しても、失われた命や米国とイラクの関係は元に戻りません。やり直しができない外交政策は本当に難しいですね。

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耕平さんかわら版     第54号(平成18年12月)


 早いもので今年もあと10日間。皆さんにとって、今年はどんな年でしたでしょうか。

今年は、春に小沢代表が登場、秋には安倍首相が誕生し、政治の風景が変わりました。来年の大河ドラマは川中島。武田信玄と上杉謙信ならぬ、小沢さんと安倍さんの見応えのある戦いを期待したいと思います。もちろん、その目的は国民の皆さんが納得できる日本をつくるためです。政党や政治家の私利私欲、名誉のためであってはなりません。僕自身もそのことを改めて肝に銘じ、参議院議員としてシッカリと働かせて頂きます。

国民の皆さんに納得して頂くためには、選挙の公約のみならず、約束したことは守るという当たり前の政治が行われることが大前提です。しかし、どうも日本の政治では、「やると言ったけどやらない」、「やらないと言ったけどやる」ということが横行し、国民の皆さんの信頼を失っているような気がします。こうしたことは、子どもたちにも悪影響を及ぼします。

最近ではあまりニュースでも見かけなくなった小泉さん。「公約を守らないことなど大したことではない」と発言して物議をかもしました。増税は行わないと公約して選挙で勝った直後に、所得税、地方税の増税を行いました。政策の賛否については人によって意見が分かれるのは当然ですが、自分で約束した政策や姿勢は守って頂かなくては困りますね。

最近では郵政造反議員の復党問題。「去年の総選挙は何だったのか」という選挙そのものの意義を問う批判も多いですが、同じ政治家として僕自身が気になるのは復党した皆さんの政治姿勢。郵政民営化に反対して当選したにもかかわらず、郵政民営化に今後は賛成しますと「踏み絵」を踏んで復党しました。有権者の皆さんにどのように説明するのでしょうか。

道路特定財源の議論も気になります。一般財源化の是非には賛否両論あると思いますが、問題は「道路特定財源の余剰金はXXXに使う」という発言を安倍さんや政府閣僚が連発していること。うっかりすると聞き流してしまいそうですが、税金というのは、国民の皆さんに承認して頂いた(国会で認められた)金額以上に集まったら、まずは国民の皆さんにお返しするというのが筋ではないでしょうか。これも約束を守ることと同じ問題です。何だか、集めた税金は自分たちのものだと勘違いしているような気がします。

こうした政治の原点について、小沢信玄と安倍謙信には、川中島ならぬ来年の参議院選挙に向けて分かりやすい論戦を期待したいものですね。それでは皆さん、良い年をお迎えください。