耕平さんかわら版   第55号(平成19年1月)

 

皆さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。さて、今年の干支(えと)は丁亥(「ひのと」の「いのしし」、または「ひのとい」)。僕は年男です。子どもの頃は、干支は十二年でひと回りと思っていましたが、実は十干十二支(じっかんじゅうにし)で構成されていますので、「十」と「十二」の最小公倍数である「六十」年でひと回りです。

前回の丁亥、つまり六十年前の丁亥の年には、現在の憲法が発布され、新しい日本がスタートしました。そんなこともあってか、最近、安倍さんが憲法に関する発言をよくしますね。もちろん憲法も大切ですが、政治の最優先の目標は「暮らしやすい国」「納得できる国」をつくることだと思います。僕自身、優先順位を間違わないように仕事に取り組んで参ります。

さて、それでは日本がどのぐらい「暮らしやすい国」かと言えば、去年八月のかわら版(第五十号)でご紹介しましたように、世界百七十八か国中の九十位。この順位は、英国の研究機関が発表したものです。医療、介護、年金、雇用、教育制度などの比較や、経済状況を評価した結果の順位だそうです(詳しいことは、第五十号をご覧ください。僕のホームページにバックナンバーをアップしてあります)。

この原稿を書いている今日(十三日)の新聞には、日本の貯蓄率(二○○五年)が過去最低の三・一%になったと報道されています。前年に比べて〇・三%の低下。先進国の中では米国に次いで低い水準です。一九九○年代初めには十五%もあった日本の貯蓄率。一九九三年でも世界一でした。前回の亥年から、ちょうど十二年。たった十二年で世の中はこんなに変わるものだと驚いています。

原因はいろいろありますが、要は可処分所得が下がり、貯蓄を取り崩している、貯蓄ができないという状況が続いているからです。税金や社会保険料が上昇する一方で、医療費や介護費、教育費などの負担が増加していることを裏づけています。

貯蓄率が高いことは日本経済の強さのポイントでした。つまり、家計のたくさんの貯蓄が金融機関を通じて企業の設備投資を支えてきました。この仕組みを大切にし、家計と企業がともに繁栄していくためには、家計の可処分所得の減少や貯蓄率の低下にはどめをかけなくてはなりません。

もうすぐ通常国会が始まりますが、安倍さんにこのことをしっかりと説いていくつもりです。頑張ります。



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耕平さんかわら版   第56号(平成19年2月)

 皆さん、こんにちは。暖冬とは言え、朝晩は冷え込みます。くれぐれもご自愛ください。
 知事選挙は県民の皆さんの関心が高まり、投票率が50%を超えました。でも、逆に言えば、なお半分の方が投票に行っていないことになります。さらに投票率が高くなるように、僕たちも努力をしていきます。是非ご協力ください。

 ところで、知事選挙終盤で話題になった柳沢厚生労働大臣の発言。表現の仕方に話題が集中していましたが、問題の本質はもっと別のところにあると思います。
 柳沢大臣は、少子高齢化で現役世代(働き手)が少なくなるため、働き手を増やすためには、女性の皆さんにより多くのお子さんを出産して頂きたいということを言いたかったようです。

現役世代が少なくなると何が問題かと言えば、財政が苦しくなることです。苦しい財政を何とかする対策はふたつあります。
 ひとつは、柳沢大臣が言うように、将来の働き手の数を増やすことです。それ自体は否定しません。しかし、お子さんを生むかどうかは、それぞれのご夫婦の意思、女性の皆さんの個人の意思の問題です。政治家がことさら強調することではありません。
 もうひとつは、税金や社会保険料のムダ遣いをなくし、財源を捻出することです。これこそが政治家の仕事。国の予算は一般会計と特別会計を合計すると約200兆円。地方の予算も含めると、日本全体の毎年の予算は300兆円近くなります。そのうち、2割程度は使い方の効率化やムダ遣い是正の余地があると言われています。2割と言えば60兆円。これを徹底的に洗い出して少子高齢化対策を進めるのが政治家の仕事です。
 柳沢大臣の発言の本当の問題は、政治が本来行うべき対策よりも、ご夫婦の意思、女性の皆さんの個人の意思に関わることを、少子高齢化対策であるとする考え方そのものにあります。

税金のムダ遣いを是正し、お子さんを産みやすい、育てやすい環境を整えることこそが政治の仕事です。そのことをきちんと行った結果として、お子さんの数が増えてくるのだと思います。問題の本質を見失わないように、国会でもしっかりと議論していきます。


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耕平さんかわら版  第57号(平成19年3月)

皆さん、こんにちは。だいぶ暖かくなってきましたが、花冷えの日もあるかもしれません。くれぐれもご自愛ください。

さて、参議院での予算案の審議も大詰めです。僕も本会議で予算関係の質問をしましたが、予算案の中身は相変わらず不可解な内容がいっぱい。
 例えば、農水省。各国の貿易制度調査のために23億円の予算を計上。調査は役所本来の職務であり、そのために別途の予算がつくのは不可解。農水大臣の松岡さんに内容を質しましたが、答弁は曖昧かつ不可解。それもそのはず。自分の部屋の光熱費の実態も分からない人ですから、予算案の中身まで分かるはずがありません。

無責任さも相変わらず。財務省は外務省の旅券電子申請システムの予算を却下。このシステムは過去3年間に133件分しか使用されておらず、旅券1枚の発行経費が1600万円。財務省の指摘で外務所もシステム継続を断念。民間企業であれば、このような失敗プロジェクトは誰かが責任をとるもの。開発や受注業者選定の経緯、総コスト、責任の所在を外務大臣の麻生さんに聞きましたが、これも曖昧なまま。これでは、財政再建が進むはずもなく、医療、介護、年金、雇用、教育などの財源が足りなくなるもの当たり前ですね。

不可解なことは予算案にとどまりません。経済財政担当大臣の大田さんが今後5年間で日本の労働生産性伸び率を1.5倍にすることを国家目標にすると発言。その算定根拠と具体的方法を内閣府の担当者に聞いたところ、「とくに根拠も具体的な実現手段もありません。大臣の個人的意見ですから・・・」との不可解な説明。開いた口が塞がりません。

安倍さんの経済政策の「上げ潮」路線という表現は、米国のケネディ大統領が自身の経済政策を説明する際に述べた「A rising tide lifts all boats」(上げ潮は全ての船を持ち上げる)という発言の主語「A rising tide」から引用したもの。ケネディ大統領は「all boats」、つまり全ての国民を豊かにするために、企業減税とともに、大規模な家計減税など家計の負担軽減策も実施。家計には増税の日本の現状には当てはまりませんね。

大田さんが数値目標を掲げた労働生産性は、家計の負担や将来不安が軽減され、国民が安心して気持ちよく働ける環境が提供された結果として上昇するもの。政府が国民に数値目標を課すのは本末転倒です。このことは、予算委員会で安倍さんにもしっかりお伝えしておきました。

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耕平さんかわら版  第58号(平成19年4月)

皆さん、こんにちは。早いものでもう四月。インフルエンザのシーズンも終わりました。
 ところで、インフルエンザと言えば、先月の弘法さんの翌日、三月二十二日に厚生労働省がタミフルに関する見解を白紙撤回しました。従来は服用後の異常行動とタミフルの因果関係を否定していましたが、「過去の判断は変わりうる」と回りくどいコメント。再調査を行うことを明らかにしました。
 タミフルはこれまで全世界で四千五百万人が服用し、うち三千五百万人、実に八割近くが日本人。何だか妙な気がします。

これまでに約二千件の副作用や異常行動の報告があり、二○○四年頃からタミフルとの因果関係が指摘されるようになりました。厚生労働省は因果関係を一貫して否定し続け、昨年十月には報告書を公表。当然、因果関係を否定する報告書です。ところが、それ以降も服用後の異常行動が続き、今回の対応に至りました。

そんな中、国民が疑念を抱かざるを得ない事実が相次いで報道されています。ひとつは厚生労働省OBの天下り。タミフルの国内輸入元(販売元)に某OBが再就職した直後に使用認可され、販売開始。因みに、このOBは薬害エイズ(HIV)訴訟にも登場しています。非加熱製剤の審査担当者として出廷し、「非加熱製剤とHIVの因果関係は認識されていなかった」と証言。今回の一件と妙に似た展開です。もうひとつは上述の報告書を作成した研究者に対する国内輸入元からの寄付金。タミフルの販売開始後、昨年までの六年間に一千万円を寄付。これでは、報告書の内容に疑義を抱かれても仕方ありません。

ところで、新薬の認可を行うのは医薬品医療機器総合機構。日本では新薬がなかなか認可されません。典型例は抗ガン剤。治験期間が長く、コストも嵩むため、国内製薬会社が開発から撤退。結局、欧米で数年前に開発された抗ガン剤が認可され、輸入販売されています。その他の薬についても同様の傾向が見受けられます。妙なことです。
 医療関係者の間では、一九九○年の日米構造協議(MOSS協議)の際に日本の医療産業は発展させないという日米間の密約が交わされたという情報が語り継がれています。そのことを非公式に認める厚生労働省関係者もいます。因みに、タミフルの特許権を所有している米国製薬会社の大株主は米国の前国防長官ラムズフェルド氏。さらに妙な気がします。

日本の製薬会社の技術力、開発力が欧米に劣るとは思えません。開発しても認可されない特別な理由があると考える方が合理的。日本の医療政策には不透明な日米関係の副作用が生じています。安倍さんや柳沢さんには、数々の疑念を晴らし、こうした副作用を解消してほしいものですね。国会でもシッカリ議論します。

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耕平さんかわら版  第59号(平成19年5月)

 皆さん、こんにちは。新緑の季節というよりも、夏が近くなってきた感じですね。その前に梅雨がありますが、くれぐれもご自愛ください。
 さて、フランスではサルコジさんという新しい大統領が誕生しました。ロワイヤルさんとの決戦投票でフランス国民は大いに盛り上がったようです。
 サルコジさんの政策は「働かざる者、食うべからず。国民はもっと自己責任を」という考え方。ロワイヤルさんは「困っている国民のために政府はもっと責任を果たすべき」という主張でした。
 どちらの意見にも一理あります。僕自身は、政治の基本は「国民に余計なおせっかいをしない。困っている国民には手を差し伸べる」ということだと考えています。
 「国民に余計なおせっかいをしない」という部分はサルコジさんの主張に近い要素を含んでいます。一方、「困っている国民に手を差し伸べる」という部分はロワイヤルさんの主張。このふたつは両立可能です。
 つまり、「国民に余計なおせっかいをしない」ということの中には、サルコジさんの言う自己責任という意味合いも含まれていますが、国民が必ずしも必要としないモノを造ったり、不要不急の規制を行ったり、無用の口出しをしないということも意味しています。ムダな公共投資や不要不急の支出を減らすことによって、財源は余るはずです。
 その財源をうまく使えば、「困っている国民に手を差し伸べる」ことも従来以上に可能になります。ロワイヤルさんの主張を実現できます。
 「そんなにうまくいくのかな」と思われる方もいるでしょうが、やればできます。必ずできます。日本では、医療、介護、年金など、社会保障政策の内容がドンドン切り下げられています。その理由を小泉さんや安倍さんに聞くと、必ず「財政赤字だから」と言われます。「どうして財政赤字なのですか」とさらに聞くと、オウム返しのように「少子高齢化ですから」と言われます。
 「なるほど」と簡単に納得しないでください。少子高齢化は先進国共通の現象。にもかかわらず、日本だけが他国に例を見ない規模とスピードで財政赤字が膨張。他国で起きないことが起きています。それには何か原因があるはずです。日本独自の原因です。それを解決しなくては、「困っている国民に手を差し伸べる」ことを十分にできません。
 「国民に余計なおせっかいをしない」ことによって、ムダ遣いを減らすことが必要です。「余計なおせっかい」というよりも「国民の財源を遣って余計なことをする」と表現する方が正確かもしれまぜん。
 モット、ずっと、しっかり、ムダ遣いを減らす不断の努力を続けていくことが必要です。国会でもそうした姿勢で、引き続き頑張ります。

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耕平さんかわら版 第60号(平成19年6月)

皆さん、こんにちは。今月の「耕平さんかわら版」は60号・61号合併号です。来月は表面の「弘法さんかわら版」だけになります。裏面には、「弘法さんかわら版」のバックナンバーリスト(創刊号から60号のタイトル)をご紹介します。あしからずご了承ください。
 さて、「消えた年金」問題が国民の関心を呼んでいます。不安を抱えている方も多いことと思います。
 11日の月曜日に参議院決算委員会で安倍首相と質疑を行いました。僕としては、安倍さんに事態の重大さ、規模の大きさを認識して頂きたいという思いで議論させて頂きました。その際のポイントは次のとおりです。

5000万件の誰のものか分からない年金手帳記号番号の件数。もう少し具体的に言えば、誰のものか分からない年金手帳が5000万冊あるということです。驚きです。転職経験のある人、結婚して姓が変わった人などが該当者に含まれている可能性が高いようです。
 さらに驚きなのは、柳沢厚生労働大臣が、これらの年金手帳で総額いくらの保険料が納付されたかが分からないとしていることです。でも、計算すればある程度は想像できます。そこで、安倍さんに「月2万円の保険料をひと月だけ納付したとして、5000万冊でいくらになりますか」と質問しました。安倍さんは自分では答えませんでしたが、算数の得意な小学生でもできる計算です。答えは1兆円。ビックリです。
 ひと月だけ納付ということはないでしょう。1年=12ヶ月とすれば12兆円、2年=24ヶ月とすれば24兆円です。平均で何ヶ月かは分かりませんが、要するに、これだけの規模の保険料が誰のものか分からないまま納付され、既に他の人の給付などに使われているということです。いやはや、驚きです。安倍さん、柳沢さんは、ことの重大さ、規模の大きさをお分かりいただけたでしょうか。
 年金制度を事業として考えれば、入出金の記録をつけるのは当たり前。保険料総額が分からないということは、入金記録がないということであり、空いた口が塞がりません。おまけに、年金給付額も本来の金額に足りない受給者が多数いることが明らかになりました。新たな顧客を次々と集めることで資金繰りをつけ、支払いも約束どおりに行わないという姿は、あまり良い喩えではありませんが、「ネズミ講」と同じです。しかし、少子高齢化で新規加入者が減少するので、実際は「ネズミ講」よりもさらに危ない構造になっているとも言えます。

国民の皆さんに安心、納得していただくためにも、この際、安倍さんには「年金制度緊急事態」を宣言していただき、全く新しい制度をつくることをお勧めします。僕自身は税方式の年金制度に移行することで、徴収洩れもなく、納税額に応じた給付が確実に行われる「簡便で信頼できる制度」が構築できると考えています。引き続き、国会で十分に議論していきます。頑張ります。