耕平さんかわら版   153号(平成27年3月

 皆さん、こんにちは。今月の縁日はお大師様の年命日(三月二十一日)、ご祥当です。旧暦で行っている知立の縁日は十一日、新暦の覚王山は毎月恒例の二十一日。ご祥当が来ると、いよいよ春本番ですね。

 般若心経の意味を学ぶ今年のかわら版。生き方や社会のあり方を考える際の道標(みちしるべ)です。

 今月は「観自在菩薩(かんじーざいぼーざー)行深般若波羅蜜多時(ぎょうじんはんにゃーはーらーみーたーじー)」の十四文字。

 「観自在菩薩」は修行時代のお釈迦様のお名前です。「観自在」は自由自在に何ごとにも囚(とら)われずにものごとを考えるということ。お釈迦様はそのような菩薩であったのでしょう。菩薩は仏(如来)になる前の修行中の身であることを表します。

 人間は誰でも五欲(食欲、性欲、睡眠欲、財欲、名誉欲)を持ちます。自分の欲を満たそうと「俺が俺が」という「自我」に振り回され、自分の固定観念や先入観でものごとを考えます。それではだめだと諭しています。

 先月も登場しましたが、「般若」はお釈迦様の知恵、「波羅蜜多」は覚りの境地に達すること。そのために菩薩は「施すこと(布施)」「戒めること(持戒)」「我慢すること(忍辱)」「努力すること(精進)」「心を落ち着けること(禅定)」「慈悲心を持つこと(知恵)」の六つを実践します。

 「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時」は「修行中のお釈迦様がものごとを深く考え、六つの行を実践する時」というような意味のようです。

 「覚り」は単に「理解する」ことではありません。自然に「実践する」ことです。観自在菩薩と呼ばれたお釈迦様は、覚りをひらくために六行を実践しました。

 固定観念に囚(とら)われず、自らを戒め、我慢し、努力し、心を落ち着かせ、慈悲の精神で周りの人々に接することの大切さ、言わば「利他」の精神を教えています。

 多くの人に親しまれるご心経。わずか三百文字弱の短いお経の中に、お釈迦様の教え、人間関係や社会の問題を和らげる心のあり方、生き方についての教えがたくさん詰まっています。みんなが「観自在」であれば、国同士、人同士の争いや問題も少なくなるでしょうね。

 弘法さんの縁日にいらっしゃった皆さんに一句進呈。「春霞(がすみ)季節を運ぶご祥当」。それでは、また来月。ごきげんよう。合掌。

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