耕平さんかわら版   171号(平成28年9月

  

皆さん、こんにちは。いよいよ秋本番。朝晩は冷え込む日も出てきます。ご自愛ください。

 昨年から般若心経の意味を学んでいるかわら版。生き方や社会のあり方を考える際の道標(みちしるべ)です。

 先月までに二百五十六文字について学びました。あと十四文字。今月はクライマックス十八文字の後半十文字です。先月号も参考にしてください。

 インドから伝わった仏経典はサンスクリット語で書かれていました。それを西域(シルクロード)や中国の僧が漢訳。クライマックスの十八文字はサンスクリット語の原典をそのままの音で漢字を当てているだけです。

 「羯諦羯諦(ぎゃーてーぎゃーてー)波羅羯諦(はーらーぎゃーてー)波羅僧羯諦(はらそうぎゃーてー)菩提薩婆訶(ぼーじーそわかー)」の前半八文字は「行こう、行こう、悟りの境地へ行こう」でしたね。

 では「波羅僧羯諦」はどう意味でしょうか。「悟りの境地へ行こう」の「波羅羯諦」の真ん中に「僧」という字が入っています。

 漢訳の「僧伽(そうぎゃ)」はサンスクリット語の音で「サンガ」。「仲間」とか「みんな」という意味。ここのくだりの「僧」は「僧伽」の「伽」を略しているので「波羅僧羯諦」は「みんなで悟りの境地へ行こう」という意味になります。

 「菩提」は「仏様の住む世界」。「菩提寺」の「菩提」と一緒です。ご先祖様(仏様)をお祀りしているので菩提寺。

 次の「薩婆訶」は「成就する」とか、成就したことに感謝する「ありがとう」という含意もあるようです。

 「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶」は「行こう、行こう、悟りの境地へ行こう、みんなで行こう、悟りの境地へ行き着こう、ありがとう」という感じでしょうか。

 数年前、ご心経の英訳に接する機会があり、「眼からウロコ」というか、この部分の雰囲気がよくわかりました。

 英訳では「ゴー・ゴー・レッツゴー・ツゥ・パラダイス、サンキュー」。「羯諦(ぎゃーてー)」は英語の「ゴー」、「波羅蜜多(ハラミッター)」は「パラダイス」に転化したという言語学の解説がよく理解できました。

 大衆(人々)が救われ、世の中(社会)の争いごとを少なくするためには、一人ひとりの心の持ちよう、生き方、人間哲学が大切です。それを説くのがご心経です。

 多くの人に親しまれるご心経。ここまでで二六十六文字について学びました。いよいよあと四文字。来月で完結です。

 それでは皆さん、来月までごきげんよう。合掌。

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