耕平さんかわら版   172号(平成28年10月

  

皆さん、こんにちは。秋も深くなりました。朝晩は冷え込みます。くれぐれもご自愛ください。

 昨年から般若心経の意味を学んでいるかわら版。生き方や社会のあり方を考える際の道標(みちしるべ)です。

 先月までに二百六十六文字について学びました。いよいよ最後の四文字です。

 最初に「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」で始まったご心経は、最後に「般若心経」の四文字で終わります。

 最初の十二文字の中にも「般若」と「心経」が含まれており、「般若」は広く深い知恵、「心経」は仏様の教えの一番大事な部分をまとめたお経、という意味でした。

 言わば、最初に唱えたお経のタイトルを凝縮して、もう一度最後に唱えている格好です。

 インドで誕生した仏教。インドから伝わった仏経典はサンスクリット語で書かれていました。それを西域(シルクロード)や中国の僧が持ち帰って漢訳。

 般若心経は玄奘(三蔵法師)が持ち帰った「大般若経」の真髄。大般若経は十六部、六百巻。漢字の文字数にして約四百八十万字。

 般若心経はそれを二百七十文字に凝縮しています。「般若心経」をそのまま訳せば「お釈迦様の広く深い知恵、仏様の教えの一番大事な部分です」と最後に述べていることになります。

 タイトルを最後に繰り返されているのは、インドのお経のつくりと関係しています。

 インドでは経典のタイトルは最後に記すのが一般的だったそうです。つまり、中国や日本ではタイトルはお経の冒頭、インドでは掉尾(ちょうび)。

 玄奘はこの違いを知っていたため、最後にタイトルを繰り返したと言われています。本来であれば「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」と全てを繰り返してもよかったわけですが、そのまた真髄部分を繰り返して、ご心経を締めくくったということです。ちょっと工夫したという感じでしょうか。

 ご心経は何を説いていたのでしょうか。振り返ってみると、私の受け止め方としては、三つのことに集約されると思います。

 ひとつは「無」。何かに固執することを戒めています。もうひとつは「空」。空っぽではなく、無限を表す言葉です。三つめは「六波羅蜜行」または「菩薩行」。「無」や「空」の境地に達するために行動することの大切さを諭しています。

 以上のことを、繰り返し繰り返し唱えているのがご心経です。

 多くの人に親しまれるご心経。大衆(人々)が救われ、世の中(社会)の争いごとを少なくするためには、一人ひとりの心の持ちよう、生き方、人間哲学が大切です。それを説くのがご心経です。

 皆さん、お疲れ様でした。それでは来月までごきげんよう。合掌。

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