耕平さんかわら版   247号(令和 5年1

  

 

耕平さんかわら版、今年もよろしくお願いいたします。

寒い日が続きますので、くれぐれもご自愛ください。かわら版では日常会話の中に含まれている仏教用語をご紹介しています。

知らず知らずのうちに使っている仏教用語。

それだけ日本人の生活に溶け込んでいるということです。

コロナ禍が続いていますが、各国とも徐々に重症化率が下がって入出国規制もウヤムヤになってきた感じがします。と言って使った「ウヤムヤ」も仏教用語です。

「法華経方便品」に「存して有(う)と為さず,亡びて無(む)と為さず」と記されていることに由来します。

元々の意味は「あるのかないのかはっきりしないこと」です。

おぼろげな様子、曖昧模糊(あいまいもこ)な状態を表現します。

漢字では「有耶無耶」と書きますが、これを漢文訓読式に読むと「有りや無しや」です。

仏教用語から派生して「有耶無耶(有りや無しや)」という表現が先にでき、それを音読して「ウヤムヤ」という表現に発展したそうです。

「うやむや」は古語で「そうだ(肯定)」を表す「う」と「そうでない(否定)」を表す「む」を続けたものと説明している辞典もあります。

その辞典では、「う」「む」という日本語は「うむを言わさず」という場合にも使われているとも説明します。

うーむ、どうでしょう。

「ガチャガチャ」「ゴチャゴチャ」のように状況を音で表す擬声音のことを言語学では「オノマトペ」と言います。

擬声音の多くは「どたばた」「うろちょろ」「あたふた」「ちらほら」のように1番目と3番目の音を変え、2番目と4番目の音が揃っており、「うやむや」もこの類型に入る言葉だという説もあります。

「オノマトペ」には漢字の当て字が当てられます。

尾崎紅葉は「金色夜叉」の中で「じたばた」に「地動波動」という漢字を当てました。

「ずたずた」に「寸断寸断」、「どきどき」に「動悸動悸」という当て字も見かけます。

井上ひさしは「もこもこ」を「模糊模糊」と書いています。

「うやむや」という擬音が先にあって、それに「有耶無耶」という漢字が当てられたとする「オノマトペ」説もあります。

余談ですが「うやむや」の話を書いていたら「うんたらかんたら」のことを思い出しました。

阿弥陀仏、観音菩薩などの仏様にはそれぞれ固有の「ご真言」があります。

その仏様についてサンスクリット語(梵語)で表現している内容をそのまま音写したものです。

不動明王の「ご真言」は「のうまくさんまんだばさらだんせんだまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん」と非常に長く、覚えることがなかなか難しいものです。

そのため、その最後の音の「うんたらたかんまん」から派生して、うろ覚えの時に「あ〜何と言うか、よくわからないけど、あれだよ」というニュアンスで「○○うんたらかんたら」というようになったそうです。

ついでに、上の文章で出てきた「うろ覚え」も以前ご紹介した「うろうろ」という仏教用語から派生したという説もありますが、「うろ(空・虚・洞)」という漢字をもとに生まれた言葉という説もあります。

語源は「うやむや」なものが多いですね(笑)。ではまた来月。

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