あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。気持ちも新たに頑張ります。1月12日(月・祝)開催のセミナーへお申し込み済みの皆様、ご来場をお待ちしております。引き続き受け付けておりますので、ご興味がある方はご連絡ください(地元052-757-1955、東京03-6550-1121)。第1部「東海地方の産業と日本経済」、第2部「異次元緩和の現状と為替・金利・株価の今後」です。
新年早々の会合で、高齢者の皆さんが自動車運転免許更新の話題で盛り上がっていました。自動車学校経営者も同席しており、学校側の状況も開陳。「なるほど」という感じです。
免許更新期間満了日の年齢が70歳以上74歳以下の人が更新を希望する場合、「高齢者講習・シニア運転者講習・チャレンジ講習と特定任意運転者講習(簡易講習)」のいずれかを受講しなければ更新できません。
同様に、更新期間満了日に75歳以上の場合、「講習予備検査と高齢者講習」の受講が必須。講習予備検査では、判断力、記憶力の状態を確認するため、「時間の見当識」、「手がかり再生」、「時計描画」の3つの検査を行います。
「時間の見当識」では検査時の年月日、曜日及び時間を回答。「手がかり再生」では、16種類の絵を記憶し、何が描かれていたかを回答(何だか難しそうです)。「時計描画」では時計の文字盤を描き、指定された時刻を表す針を描くのだそうです。
体験済みの高齢者によれば、「身分証明証代わりに使うだけだから実際には運転しないと言うと、結構大目に見てくれる」と微笑ましくも、危ない発言(笑)。
一方、自動車学校側は「高齢者増加に伴い、講習枠が足りない。半年前ぐらいから予約が必要。手間がかかって採算に合わない」と窮状を訴え。想像がつきます。
参加者の中で相対的に若い(?)僕が「いずれ自動運転車が普及すると免許更新も不要になるかも」と言うと「その頃は生きてない。わしゃ関係ない」と一笑。失礼致しました。
しかし、自動運転車の普及はそれほど遠い未来ではないような気がします。欧米では、AC(Autonomous Car)、RC(Robot Car)、DC(Driverless Car)、UGV(Unmanned Ground Vehicle)等々と呼ばれています。
米国ではグーグル(Google)とスタンフォード大学のプロジェクトチームが実用化に取り組んでおり、2011年からネバタ州が自動運転車の公道走行を認める法律を可決。その後、フロリダ州、カリフォルニア州でも公道走行を認めています。
日本でも自動車メーカー各社が開発に着手しており、政府も2020年代の実用化に向けて後押ししています。
仕組みを簡単に言えば、自動車に装備した多数のカメラやセンサーを使って周囲の状況を認識。搭乗者が行先を告げれば、地図情報も駆使して、目的地まで自動運転する車です。かつての未来は、今やもう目の前。凄い時代になったものです。
自動運転車は、昨年のメルマガ323号(11月6日号)でお伝えした「テレマティクス」とも密接な関係があります。
「テレマティクス」は「テレコミュニケーション(情報通信)」と「インフォマティクス(情報工学)」を合体させた造語。
自動車に関して言えば、カーナビ等の車載器とスマホ等の通信機能や通信端末を連動させ、情報やサービスを提供するシステム全体のことを「テレマティクス」と言います。つまり、自動運転車が最新の地図情報や交通情報を得るためには「テレマティクス」が不可欠。
情報送信のために専用ネットワークを構築するのも一案。しかし、コストや汎用性を考えれば、インターネットを活用するのが現実的でしょう。
要するに、車がインターネットに接続されて自動運転される。それが自動運転車です。こうした分野で世界に後れを取らないことこそ成長戦略。
技術開発や人材育成に政策的支援を行っていくのは政治や行政の重要な役割。一方、日本の場合、不要不急、不合理な規制や制度をつくって邪魔をしないことも重要です。
様々な製品や商品がインターネットとつながり、今までと異なる付加価値を生み出す時代に入っています。
そうした現象や傾向が「モノのインターネット接続」「モノのインターネット化」と呼ばれるようになっています。英語では「IoT(Internet of Things)」。
「IoT」という造語は1999年にマサチューセッツ工科大学の技術者が初めて使用。「Internet of Everything」「Smart Everything」という言い方もあるようです。
コンピュータ等の情報・通信機器だけでなく、様々なモノに通信機能を持たせ、インターネット接続することで通信可能とし、自動認識、自動制御、遠隔操作等を行うことを指す概念です。
人間が検針する代わりに、電力メーターが電力使用量を電力会社に送信するスマートメーターも「IoT」。人間が警備する代わりに、セキュリティシステムが異常を感知して警備会社に通報する仕組みも「IoT」。
そういえば、少し前に「ユビキタス(Ubiquitous)」という造語が流行。1991年に米IT企業の技術者が初めて使用したという説もありますが、真偽は定かではありません。
語源はラテン語(Ubique)。「遍(あまね)く」(平たく言えば「いつでも、どこでも、誰にでも」)を表す単語ですが、英語の意味は「神は遍く存在する」。
要するに、IT(情報通信技術)が「いつでも、どこでも、誰にでも」利便性を提供できる社会を表す概念として「ユビキタス」という造語が使われていました。
「ユビキタス」をより具体化したイメージを表す造語が「IoT」と言ってもいいかもしれません。こういう造語や概念に馴染みのない皆さんには「何回聞いても難解」かもしれませんが、これも時代の流れ。知らないよりは、知っていた方がよいでしょう。
しかし、「ユビキタス」や「IoT」は新しい利便性を人間に提供する一方で、新しい問題も人間に突き付けます。
自動運転車実用化に向けた問題のひとつは交通事故。搭乗者が運転していないので、事故が起きた時の責任の所在が問題になります。
全てが自動運転車になれば、理屈上は事故が起きない世界。しかし、それでも事故が起きるのが現実の世界。
事故は車のオーナーである搭乗者にあるのか、車の販売者であるメーカーにあるのか、通信機能の障害の場合は通信会社にあるのか。あるいは、自動運転システムを是認した政治や行政にあるのか。
この点の整理がつかないと、技術的に実用化が可能でも、社会的には時期尚早と判断されるでしょう。
他の「IoT」の例でも、新たな利便性と新たな問題を容易に想像できます。例えば、最近普及してきた手術ロボット「ダ・ヴィンチ」。
「ダ・ヴィンチ」は米医療機器メーカーが開発。2000年に米国食品医薬品局(FDA)が承認し、日本にもすぐ輸入(導入)されました。そして、2009年には日本国内での製造販売が認可。現在、日本国内で約50台が使用されています。
この手術ロボットがインターネットに接続されるとどうなるでしょうか。日本の医師が現場で操作するだけでなく、現場にいない他の医師が遠隔操作で手術することも可能になります。
世界的権威の外国の医師による手術を希望する患者がいれば、海外から手術ロボットを遠隔操作する例も現実化するかもしれません。
しかし、外国の医師が遠隔操作で手術することは、日本の医療制度や医師免許上の法律的根拠はどうなるのでしょうか。
手術が失敗した場合の責任は、医師にあるのでしょうか、手術ロボットのメーカーにあるのでしょうか。通信障害が起きた場合には、通信事業者が責任を負うのでしょうか。
健康診断機器やパソコン機能を果たすゴーグル等のウェアラブルデバイス(装着機器)、電気スイッチ等を遠隔操作するスマートハウス(自動化家屋)等々、今や「IoT」の事例の日進月歩。留守中のペットの状況を把握するペット用ウェアラブルデバイスもあるというから驚きです。
新年早々「何回聞いても難解」な話題で恐縮ですが、ここまで来たら、恐縮ついでにもうひとつ造語をご紹介します。
「M2M」。今年年末に公開される新作スターウォーズに登場するロボットの名前ではありません。「Machine to Machine(マシンツーマシン)」の略で「M2M(エムツーエム)」。
機器同士がネットワークで接続され、相互に情報通信を行い、人手を介さずに情報収集や遠隔操作等を実現する技術を指します。
要するに、インターネットが「モノ」同士の情報伝達(コミュニケーション)路に進化しています。「モノ」をインターネットにつなぐことで、「離れたモノの状態を知る」「離れたモノを操作する」事例が急拡大しています。
インターネットに接続される「モノ」には固有のアドレス(ネットワーク上の住所)が必要です。そのアドレスを手掛かりに「モノ」と「モノ」が情報伝達します。
アドレス付与にはルールがあり、現在のルールでは約42億個のアドレスしか付与できません。しかし、新しいルール(新IPアドレスIPv6)が実用化されると、上限が約500億個に拡大する見込みです。
そして、その膨大な数だけセキュリティリスクが存在します。海外から自分の家の「モノ」が不正に覗かれたり、操作されることもSFとは言えない時代になっています。
2015年、世界も日本も劇的なスピードで変化していくでしょう。今年も様々な分野の変化を的確に捉え、政治が対処していくべき課題、政治家として警鐘を鳴らしていくべき課題にしっかりと向き合っていきます。
(了)